会社の社員満足度調査や愛社精神について

雑記

いまぼくが所属している会社、20年くらい籍を置いてるシステム会社、
平均給与は同業他社と遜色ないし、日本全体だと上の方だし、
良くも悪くも残業代は申請通り払うし、
コロナ禍でもボーナスは満額出してくれて、
社会保障や手当は十分だし、
社内文化は温和でいい人が多いし、変な飲み会や体育会系なこともない。

にも関わらず、
社外の社員満足度調査などをやるとだいたい結果が芳しくない。

で、なんでだろうって人事や経営陣は考えるんだろうけど、
ぼくも前から考えてたんだけど、最近気づいたことがある。

ウチの会社の事業は民間、公共さまざまな業種のシステムを開発、運用しているのだけど、
基本的には受託メインで、一部パッケージシステムを開発して販売してはいるもののどれもBtoBのシステム、業務システム開発が多い。

受託って結局、依頼元の事業のお手伝いということになるのだけど、
これがそもそも、それに携わる人間のやる気を腹の底から本気にさせないんだと思う。

お客さんから頂いた仕事はきっちりやるし(組織的対応が未熟な面は多々あるが)、
サービス業に近いから実際に接しているお客さんの役に立つことをしている達成感はあるんだけど、
特に公共のシステムや民間の基幹系システムなどは、つまるところ、依頼元の事業の、依頼元組織の内部の効率化にとどまる。

ぼくたちの作業が、社会全体の役に立つとか社会一般の人に見える形で、
例えばぼくたちの家族が普段の生活の中で役に立っているとは、まあ言えない。
間接的には役に立っている部分もあるので、
言ってはみても、どうしても本音には聞こえない。

だからもし、社員満足度や愛社精神の低さを本気で解消しようと思うなら、
会社の設備を充実させるとか、
各種手当など給与面を改善するとかではなく、
会社の事業態そのもののを変えていく問題なんだと思う。

つまり、自社サービス、それもBtoCの事業をして、
それが世の中の役に立っていて、
家族や身近な人にそのサービスなり事業を評価されて、
あれやってるのウチの会社なんだ、ドヤっていう感覚を社員が持たない限り、
社員満足度、愛社精神は向上しないんだと思う。

逆に言えば、社員満足度調査って
自己実現的な欲求の満足度は、業態によっては入れるべきではないんじゃないかな。
もちろん、そういう調査を行う会社もバカじゃないから、
分類ごとに区別して数字は出しているんだろうけど、
どうしても結果は総合評価で判断してしまうので、数値としては低く出て、
改善しなきゃ、ということになる。

で、調査先の中の業種別の平均値との比較、なども出るんだろうけど、
それはさっき書いたように業態によるし、
こういう調査を依頼する会社というのは、
そういうことを意識している会社の中で、ということにもなるので、
ウチの会社は平均を下回ってしまうのだと思う。

ウチの会社も自己実現的な満足度を除けば平均以上になるんじゃないのかな。

存在しないゴール、先の見えないゴール設定がそもそも間違いという話。
マズローの5段階欲求は正しいんだ、という話でもある。

いっそのこと社員満足度向上という努力は放棄して、
私たちの会社の意義(社員に向けての意義)は社員の生活手段の一部でしかありません、
もちろん上に書いたような、これまで通り、社員に優しい会社は目指す、
でも社員の自己実現についてはそれぞれ個人で見つけて欲しい、
というスタンスの方がはっきりしてていいような気がした。

そうすると、そのサポートのために、副業オッケーにするとか、
各自が自己実現目標を見つけられるような体制を会社として整えることで、
別の面の満足度が向上するかもしれない。

なんでこんなことを考えたかというと、
先日、リクルートホールディングスの社長交代、というニュース
があって、
45歳の社長抜擢、現社長から10歳若返り、というのもスゴいけど、
新社長の以下の連載記事を読んで

リクルートの最年少役員は何を考え、どんな仕事をしてきたのか
リクルートに入社して13年目……36歳の若さで執行役員に任命された、出木場久征氏。彼は何を考え、どんな仕事をしてきたのだろうか。

あぁ、やっぱり事業会社っていいなって思ったんですよね。


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