子育て世帯への一律給付という政策について

雑記

2021年10月総選挙に向けて各政党が公約を発表した。

その中に子育て世帯への一律給付というものがある。
今日はこれについて考えてみたい。

どんな政策にもその意図、目的がはっきりしていないといけない。
政策は手段であり、どんな目的でそれを実行するのかということである。

子育て世帯への一律給付としか言わないので、これを訴える政党の意図が不明だが、どう推察しても結局選挙前の甘い話しか想像できない。

以下に例をあげてみる。

第一に、目的が社会全体で子どもを支えていくべきだという子どもにかかる費用の負担軽減であれば、子どもをもつ世帯への給付ではなく、小中学校の教育費無償化など、子どもが生活する上でかかる費用に財源を向ける施策にすべきである。
無償化するには立法が必要なので時間がかかるということであれば、用途を明確にできるバウチャーなどでもよい。

子どもをもつ世帯への給付では、受け取るのはその親なので、しっかり子どものために使われるか保証がない。
その世帯の生活費として消費されてしまうのが大半だろう。

第二に、子どものいる家庭ではお金がかかるので、給付してあげようという直接的な目的なら、子どもがいない世帯でも今のコロナ禍や他の理由でお金に困っている人と区別する理由がない。
それなら低所得者向け給付の方がまだ筋が通っている。

子どものいる家庭は、子どもがいることで大変なことはたくさんあるが、金銭では代えられない充実した日々を送ることができるというのも事実だろう。
あえて言えば好きで子どもを産んでいるわけで、そこだけに財源を投入するというのは、そうでない世帯からすれば納得できないのは当然だろう。

第三に、もっと長期的な視点で少子化対策が目的だ、ということであれば、これこそこれから産む人をターゲットにしなければいけないので、ピントがずれている。
菅前総理の主導で行った、不妊治療の保険適用化などが適した施策になる。

これから産もうとする人の経済的な不安を取り除くということであれば、最初に例にあげたものと同じく教育費無償化や児童手当の拡大などになるだろう。

ただし、給付を増やしても出生率が上がるという明確なエビデンスはないとも聞く。

子育て世帯への一律給付を掲げる政党は、これらをちゃんと説明する義務があると思うが、はっきり言うのを聞いたことがない。

目的が不明なので、こちらで考えてみたがどんな目的でも一律給付に正当なものは見つけられない。

なので、結局のところ、選挙前の票欲しさの甘い話にしか思えない。

政策を発表する政党にはこういうところをしっかり説明してもらいたいし、伝えるメディアももっと踏み込んで聞いてほしい。