自分の意見に自信をもつということ

20代の君へ

私たちが自分の意見に対して抱く主観的な自信は、システム1とシステム2がこしらえ上げたストーリーの一貫性に裏付けられているのである。
情報は少ない方がつじつまを合わせやすいので、情報の量と質はほとんど考慮されない。私たちは、人生で信じていることのうち最も重要ないくつかについては、何の証拠も持ち合わせていない。ただ愛する人や信頼する人がそう信じている、ということだけが拠りどころになっている。自信を持つことはたしかに大切ではあるが、私たちが知っていることがいかに少ないかを考えたら、自分の意見に自信を持つなど言語道断と言わねばならない。

ダニエル・カーネマン「ファスト&スロー」


20代のころ、自分の意見に自信を持った言動がどうしてできないのか悩んでいた。

まさに自分が主張しようとするある意見について、いくらでも批判があって全てに真っ当な反証などできないと思っていたのだ。

どうして他の人はそんなに自信をもって主張ができるのか不思議でならなかったし、そう考える自分がただの無能だと思っていた。

でもそんな自分が正しかったのだ。
ノーベル賞受賞者がぼくの20代の不安をまさに言い当て、問題ない、おかしいのは他者の方だと言ってくれている。

20代の君へ、君の考えは正しい。
なんの問題もない。

そのように謙虚になるべきだ。
常に自分の意見を疑うべきだ。
君のその、謙虚で批判的な考えこそ自信を持っていい。

自信をもつことは大切だ、と上の引用の中にもある。
大切なことはたしかだが、自分の主張に一片の曇りもないと考えるのは誤りなんだ。

<20代の君が読むべき本>

ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 文庫 (上)(下)セット