今日は『堀江貴文VS外食の革命的経営者』の紹介です。
外食産業に携わっている方はもちろん、
マーケティングやSNSの活用、業務効率化などもふんだんに盛り込まれているので、
外食産業以外の方にもおすすめしたい一冊です。
堀江さんは大量に本を出していて、若干食傷気味なところがありますが、
やっぱり面白いし常に本質的なことを言うので、示唆に富むところが多いと思います。
この本のあらすじ
多くの人との対談形式の本です。
1章につき1人との対談ですが、ある人との対談で別の人との対談の話がでてきて繋がりがあります。
口語の対談本は長すぎると途中で嫌になることがありますが(ぼくだけ?)、
どの対談も面白いのですぐに読むことができます。
登場者は
- 焼肉ライクを運営するダイニングイノベーションの西山和義さん
- 鮨さいとうの斎藤孝司さん
- トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕さん
- スガラボの須賀洋介さん
- ひもの屋やすっぽん月輪を運営するジャイロホールディングスの花丸雅丸さん
- アイアンシェフの黒木純さん
- ポルトガル料理クリスチアノの佐藤幸二さん
- 立川マシマシの大川弘一さん(まぐまぐ創業者の大川さんがマシマシとは知りませんでした…)
- 京都吉兆の徳岡邦夫さん
です。
この本で印象にのこったところ
ぼくがこの本でメモした箇所は以下です。
– マクドナルドのヒミツ
マクドナルドのオペレーションについて、
映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(NetflixとHuluで見れるようです)への言及が複数の対談の中で出てきます。
マクドナルド兄弟がハンバーガーの大量生産を考える、
いわばメイキングの部分が面白いらしいです。
まだ見てないので、見てみようと思ってメモしました。
– 一蘭と吉野家とセブンイレブン
堀江さんは一蘭のシステムについて、この本だけではなく、いろんなところで評価しています。
それを焼肉ライクを作った西山さんと談義している部分はなるほどなーと思いました。
吉野家についての牛丼へのこだわり、すき家、松屋との違いについてはぼくも同じことを思っていました。
ローソンはなぜセブンイレブンに追いつけないのか、という話題もありました。
それについては、過去に調べた記事があります。
– 焼肉ライクの低コストのひみつ
今話題の焼肉ライクは第一章に。
あの牛角も作った西山さんのことは浅学にて知らなかったけど、
第一章に持ってくるだけあってとても面白い。
牛角は美味しい焼肉をより安く食べられるようにした革命的プレイヤーでしたが、
焼肉ライクはさらに機械化&回転率向上を推し進めてコストダウンを実現しているとのことです。
– 一流の寿司職人も認めるシャリロボット
たまにニュースになる飲食関係のロボット。
寿司を握るシャリロボットの最新版については、寿司職人である斎藤さんも評価するくらいよくできているみたいです。
ますます人間がやることと、人間がやらなくてよいことを考えていかなければいけません。
– 料理人に大事なのは、コミュ力と経営力・数字を見れる力
今回の対談者の多くは料理人なのですが、お店が成功するためには料理人の腕だけじゃダメだということが何度も出てきます。
経営者の視点が重要という当たり前のことが、まだこの業界には根付いていないとのこと。
ライザップの例を出して(ライザップのトレーナーの採用基準はトレーニングの知識ではなくてコミュ力らしい。コミュ力ある人でないとお客さんをマンツーマンでやる気にすることはできないというのがその理由。コミュ力のある人を採用したあとでトレーニングの教育をするらしい…)、
料理人も食事でお客さんを楽しませることができる人を採用し、その後に料理を教える逆転の発想で採用してはどうか、という話が印象的。
– リピートしてもらうための努力
外食は来てもらったお客さんに次来てもらえるかどうかが全て、と言う。
もちろんこれはどんなビジネスでも同じ。でもその努力をしない人が多いという指摘。
たしかに美味しいお店、話題のお店に並んでまで行って、その日は大満足するんだけど、他にも行きたいお店があって、リピートすることって自分の行動を顧みても多くない。
毎回並ぶわけにもいかないし、費用面も…
そう考えるとたしかに、お店側としてはどうリピートしてもらうかに頭を使うことになる。
堀江さんは嫌がられない程度にプッシュすることが大事と言う。
– ホリエモンが食の世界にいった理由は、料理人なら国王やセレブにダイレクトで会えるから
これは知らなかったですね。
海外では料理人の地位が高く、有名になると高貴な方たちから直接オファーがあるとのこと。
食に詳しくて、WAGYUMAFIAで包丁捌きの腕を磨き、海外では完全にシェフだと思われているらしい。
ほんとに面白い人ですよね。
(いつかWAGYUMAFIA食べたい…)
– 外食産業の低価格化
外食産業で利益を出す一番簡単な方法は経費を削ること。
イコール人件費を削る、食材を削る。そして食材を削れば味は当然落ちる。
ぼくも常々、この30年にわたるデフレで日本の物価、特に食料品、外食の値段の安さは異常だと思ってます。
もちろん、安いのはうれしい。
でもその安さの裏にあることに目を向ければ、
そんなにやすやすと享受していいものでもないと思ってます。
– ホットペッパー=リクルート税
ただでさえ利益を出すのに苦労してるのに、
さらにホットペッパーに登録して予約手数料を取られる外食産業。
堀江さんがリクルート税だと呼んでたらリクルートのビジネス審査員を干されたというのは置いといて、
今はSNSでお客さんと直接つながることができるので、SNSをうまく利用することでホットペッパーの登録は必ずしも必要ではない、という話もありました。
– 最近の外国人はサスティナブルな料理を求める
SDGsが世間では盛んに言われてますけど、
最近の日本に食を求めにくる海外セレブは、その食材のサステナビリティを気にするとのこと。
なので、魚は養殖の方がイメージがよかったりするらしい。
そういう発想だと、天然<養殖となり必ずしも天然が喜ばれるわけではなくなる。
これは現時点が一つのターニングポイントになると思いました。
– 人材不足だけど、人材が大事だという話
これはほぼ全対談で話題になっています。どこもかしこも人材不足。
これは外食産業に限らず、ですよね。
少子高齢化で労働人口が減っていて、
仕組みは労働人口が多いときのままってことだから当たり前なんですけど、
ここに出てくる革命的経営者たちは、いかに人間にやらせないか、又はだれでもできるように効率化できないか、に日々頭を使っています。
これは他業種の人でも参考になる部分だと思います。
まとめ
食に関することに身を置く人は読んでおいて間違いないです。
外食産業でなくてもビジネスに身を置く人は示唆に富む内容がいっぱいなので、読んだほうがよいです。