Power Automate Desktopの無料化でMicrosoftは何を狙っているのか?

Office

前回、無料となったPower Automate Desktopを試した記事を書きました。

【レビュー】無料のPower Automate Desktopをさっそく使ってみた!

普通のRPAツールとして、特に機能制限なく使えることがわかりました。

こんなのを無料にしたらRPAツールを有償にしている他社はたまったもんではありません。
Microsoftはなぜ、無料化に踏み切ったのでしょうか?

今回はMicrosoftの真の狙いを考えてみます。

Power Automate Desktopの位置づけ

そもそもPower Automate Desktopの位置づけを説明します。
ここからは長いのでPower Automate Desktop=PADとしますね。

PADはただのRPAツールではありません。

PADは、 Microsoftが提供するPower Automateのという製品の一部にすぎません。

Microsoft Power Automate

Power Automateはビジネスのワークフローを簡単にする仕組みを提供しています。

Power Automateの機能とライセンスの一覧は↓のブログに詳しいです。

日本一わかりやすい、非公式な Power Automateと Power Automate for desktop のライセンス表 - 吉田の備忘録
公式のPower Automateのサイトにあるライセンスがわかりにくいので、勝手にわかりやすい表を作ってみました。 注意書きですが、この投稿は2023年8月2日時点のものです。最新のライセンス情報は必ず公式サイトをご覧 …

この表から分かる通り、無料化したPADというのは、Power Automateのほんの一部です。

Power Automate Desktop無料化の狙い

なので、Microsoftが、
PADでの収益化をあきらめたとか、
Windowsを使った自動化でみんなをハッピーに、なーんて甘っちょろいことを考えているわけではありません。

何を狙っているかと言えば、PADでRPA、自動化の便利さを知ってもらって、Power Automate本体を契約してもらう、というのが真の狙いです。

Power Automateの現在の価格はこれです。

Microsoftホームページより

サブスクリプション(月払い)なので、簡単に導入できます。

Power Automateは基本的に、ワークフローを回すといった、組織で使うものです。

Office(Microsoft365)も今はパッケージ版よりサブスクリプションの方が利益が大きいので、Power Automateでも同じようにできると考えているのでしょう。

無料のPower Automate Desktopでできないこと(制限事項)

そういう観点でPADを見ると、実は、無料版のみでは難点があります。

それは、PADで作ったフローの保存先が、個人のOneDriveに固定されているということです。

操作したPCのローカルに保存できません。

なので、そもそもPAD無料版のみでは、個人のMicrosoftアカウントが必要だし、
ある人が作ったフローを共同利用することができないということになります。

シェアできないのです。

これは、組織で使う上ではかなりデメリット(制限事項)だと思います。

※フローの内容はコピペすることで、テキストに保存できるので、それを別の人にわたすことはできます。

このシナリオではコピー先でさらにUI要素の追加が必要です

ただ、この場合は、フローの修正のたびに別の人に提供する必要があり、
継続的に、大規模で使う場合には向かないでしょう。

つまり、無料版PADを使ってみて、すげー、これ組織的に使うべきだ!
→Power Automateを契約するしかねー、という流れになるのです。

他のRPA製品との価格差

では、Microsoftが売りたがっているPower Automateの価格はライバル製品と比べてどうなのでしょうか?

世間ではUI PathとWinActorが有名なので、この2製品をみてみます。

UI Path

まず、UI Pathですが…
ホームページに価格表がありません。

価格差を見てみましょうと言って、最初からすみません。

でもないんです。
米国ホームページにもない。

代理店を通じてしか購入できないため、代理店に問い合わせしなければいけないようです。
(RPA導入にはサポートが必要で、それをUI Pathの本体ではやれないのでそれ含めて代理店に提供している、という意味もあるし、仕切り価格を顧客によって変えてるんでしょうね)

本家でないサイトによると¥500,000/年くらいという情報がありますが、開発ライセンスなのか、ランタイムを含むのか不明です。

ライセンスポリシーはわかりにくすぎる。。。

UiPathライセンシングポリシー | UiPath

どうもお役に立てなくてすみません。

少なくとも、
Power Automateは¥4,350/月/userなので、多分だけど、こちらの方が断然安いとは思います。

ただUI PathもRPA単体利用を目的にしているわけではなく、
ワークフローを用いて組織で使えるトータルパッケージなので、Power Automateに近いです。

また、Windows限定ではなさそうなので、その点では差別化できるのかもしれません。

WinActor

WinActorは、というと、
(なーんかランディングページの人の画像が微妙だと思うのはぼくだけ?B向けしかないので別にいいんですけど)

こちらについては、代理店の情報ですが、以下にありました。

https://braingate.co.jp/winactor/consulting_1/

開発(ロボットの作成)75,000円/月
ランタイム(ロボットの実行のみ)20,000円/月

すくなくとも1台は開発ライセンスが要ると思うので、
Power Automateの10倍以上ということで、こちらもPower Automateの圧勝です。

結論:ライバルはかなり厳しい

ということで、MicrosoftはまずPADの無料化で、ライバル企業を圧倒すると思います。

はっきり言って中の人はオワタと思ってるんじゃないですかね。

ブラウザやOfficeで他を駆逐してきたMicrosoftが、RPA、ワークフローの分野でも同じ歴史を繰り返すと思いますね。

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