前回、無料となったPower Automate Desktopを試した記事を書きました。
【レビュー】無料のPower Automate Desktopをさっそく使ってみた!
普通のRPAツールとして、特に機能制限なく使えることがわかりました。
こんなのを無料にしたらRPAツールを有償にしている他社はたまったもんではありません。
Microsoftはなぜ、無料化に踏み切ったのでしょうか?
今回はMicrosoftの真の狙いを考えてみます。
Power Automate Desktopの位置づけ
そもそもPower Automate Desktopの位置づけを説明します。
ここからは長いのでPower Automate Desktop=PADとしますね。
PADはただのRPAツールではありません。
PADは、 Microsoftが提供するPower Automateのという製品の一部にすぎません。
Power Automateはビジネスのワークフローを簡単にする仕組みを提供しています。
Power Automateの機能とライセンスの一覧は↓のブログに詳しいです。
この表から分かる通り、無料化したPADというのは、Power Automateのほんの一部です。
Power Automate Desktop無料化の狙い
なので、Microsoftが、
PADでの収益化をあきらめたとか、
Windowsを使った自動化でみんなをハッピーに、なーんて甘っちょろいことを考えているわけではありません。
何を狙っているかと言えば、PADでRPA、自動化の便利さを知ってもらって、Power Automate本体を契約してもらう、というのが真の狙いです。
Power Automateの現在の価格はこれです。
サブスクリプション(月払い)なので、簡単に導入できます。
Power Automateは基本的に、ワークフローを回すといった、組織で使うものです。
Office(Microsoft365)も今はパッケージ版よりサブスクリプションの方が利益が大きいので、Power Automateでも同じようにできると考えているのでしょう。
無料のPower Automate Desktopでできないこと(制限事項)
そういう観点でPADを見ると、実は、無料版のみでは難点があります。
それは、PADで作ったフローの保存先が、個人のOneDriveに固定されているということです。
操作したPCのローカルに保存できません。
なので、そもそもPAD無料版のみでは、個人のMicrosoftアカウントが必要だし、
ある人が作ったフローを共同利用することができないということになります。
シェアできないのです。
これは、組織で使う上ではかなりデメリット(制限事項)だと思います。
※フローの内容はコピペすることで、テキストに保存できるので、それを別の人にわたすことはできます。
ただ、この場合は、フローの修正のたびに別の人に提供する必要があり、
継続的に、大規模で使う場合には向かないでしょう。
つまり、無料版PADを使ってみて、すげー、これ組織的に使うべきだ!
→Power Automateを契約するしかねー、という流れになるのです。
他のRPA製品との価格差
では、Microsoftが売りたがっているPower Automateの価格はライバル製品と比べてどうなのでしょうか?
世間ではUI PathとWinActorが有名なので、この2製品をみてみます。
UI Path
まず、UI Pathですが…
ホームページに価格表がありません。
価格差を見てみましょうと言って、最初からすみません。
でもないんです。
米国ホームページにもない。
代理店を通じてしか購入できないため、代理店に問い合わせしなければいけないようです。
(RPA導入にはサポートが必要で、それをUI Pathの本体ではやれないのでそれ含めて代理店に提供している、という意味もあるし、仕切り価格を顧客によって変えてるんでしょうね)
本家でないサイトによると¥500,000/年くらいという情報がありますが、開発ライセンスなのか、ランタイムを含むのか不明です。
ライセンスポリシーはわかりにくすぎる。。。
どうもお役に立てなくてすみません。
少なくとも、
Power Automateは¥4,350/月/userなので、多分だけど、こちらの方が断然安いとは思います。
ただUI PathもRPA単体利用を目的にしているわけではなく、
ワークフローを用いて組織で使えるトータルパッケージなので、Power Automateに近いです。
また、Windows限定ではなさそうなので、その点では差別化できるのかもしれません。
WinActor
WinActorは、というと、
(なーんかランディングページの人の画像が微妙だと思うのはぼくだけ?B向けしかないので別にいいんですけど)
こちらについては、代理店の情報ですが、以下にありました。
開発(ロボットの作成)75,000円/月
ランタイム(ロボットの実行のみ)20,000円/月
すくなくとも1台は開発ライセンスが要ると思うので、
Power Automateの10倍以上ということで、こちらもPower Automateの圧勝です。
結論:ライバルはかなり厳しい
ということで、MicrosoftはまずPADの無料化で、ライバル企業を圧倒すると思います。
はっきり言って中の人はオワタと思ってるんじゃないですかね。
ブラウザやOfficeで他を駆逐してきたMicrosoftが、RPA、ワークフローの分野でも同じ歴史を繰り返すと思いますね。
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