今ではインターネットでいろんなオリジナルグッズを作ることができます。
プレゼントに使えるオリジナルギフトをネット注文できるサービスは以下の記事で紹介しています。
で、Tシャツに自分で好きなデザインを入れて、自分だけのオリジナルTシャツを作るサービスもあります。
ぼくは音楽のロックが好きで、夏はロックバンドのTシャツしか着ないことにしています^_^
でもお店で買うと結構なお値段の場合があるし、
そもそも数が少ないです(>_<)
ファンクラブに入っていて、そこで買うってわけではないですからね。
で、自分でTシャツ作れたら、そんな問題が解消するし、
それを販売したらダメだけど、個人利用ならいいのでは?
ロゴそのもの入れたり、アルバムジャケットの画像を使ったりはもちろんダメだけど、バンド名のテキストだけならいいのでは?
と思ったのですが、、、
色々調べてみたところ、やっぱりダメっぽいですね。
以下に調べた結果をお伝えします。
(法律素人の個人的見解を含みます)
オリジナルTシャツやさんの注意例
同じようなことを考える人はいるみたいで(そりゃそうか…)、
オリジナルTシャツを製作できるサービスのFAQにはダメって書いてあるのが多いです。
Q. 好きなキャラクターをそのままオリジナルプリントに使いたい!
SWEAT.jpさん
A. これは違法になります。キャラクターをそのままプリントすることは著作権の侵害にあたるので、権利者の許可無く既存のキャラクターをそのままTシャツにプリントすることはできません。キャラクターはそのキャラクターを作った作者の財産ですので権利を侵害することがないように注意しましょう。
オリジナルTシャツが私的使用を目的として作られた場合も、著作権者の利用許諾なく、業者に制作を依頼した場合は著作権侵害にあたるためNGです。業者に依頼した時点で個人的または家庭内の範囲を超えてしまうためです。
PRISMA CREATIVE PRODUCTSさん
著作権法では、「著作物は、個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、使用する者が複製することができる」と定められています。
TMIXさん
逆に言えば、著作者から利用許諾を受けていない場合には、これ以外は全てアウトです。つまり、「業者へ製作依頼するとアウト」「自宅で製作したものでも、家庭外で着用するとアウト」となります。
こんな感じで大体だめって書いてあります。
ただ上のほとんどは著作権侵害にかかる事項です。
著作権侵害になるのは常識的範囲でわかります。
例えば、ビートルズのラバーソウルのアルバムジャケット写真(有名な4人の顔が歪んだやつ)をオリジナルTシャツやさんにアップロードしてTシャツにするのはアウト。著作権の侵害ですよね。
でも、『ビートルズ』『The Beatles』という名称だけをテキストで使うのはどうなの?ダメ?
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残念ながら、
この場合は、特許権ではなく、商標権に引っかかるようです。
そもそも商標権ってなんだ?
ざっくりいうと、
ある商品やサービスで、他とは違う、その商品やサービスそのものだ、と人が認知できるものを商標法で保護することで、その商品やサービスの信用を維持して、商品やサービス購入者の利益を図る、というものです。
商標権とは、商標として認められたものを出願者だけが使用でき、専有できる権利です。
著作権との違いは、商標は出願が必要な点です(出願→査定→登録)。
著作権はモノを創作した時点で発生するけど、商標は登録制です。
先願制なので、先に登録された人がその商標を専有できます。
あと、商品・サービス名(厳密には名称だけではないけど、ここでは割愛)に合わせて、それを何に使用するかの区分をセットで登録します。
登録制なので、商標登録があるかどうかは公開されていて、
だれでもインターネットで確認することができます。
実際の例を見てましょう。
この商標検索から↓のように『RADWINPS』(ラッドウィンプス)を検索してみます。
結果はこの記事を書いている時点で2件出てきます。
うち、1件を開くと
このようになっていて、”商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務”の欄が『RADWINPS』という名称を専有して使えるモノを表しています。
携帯ストラップ、キーホルダー、ステッカー、タオル、Tシャツなど、
バンドグッズはもれなく登録されていますね。
これまで商標について馴染みがない人には、面白いと思うので、
いろいろ検索してみてください。
(上の検索項目の”呼称”は全角カナで検索します)
ミスターチルドレン、ドリームズカムトゥルー、ブルーハーツなど、
大体のバンド名は登録されています。
(有名どころで未登録なのは(ぼくが検索した限りヒットしなかったのは)バンプオブチキンくらい?なぜ??)
ビートルズ、グリーンデイ、ディープパープルなど海外バンドもあります。
人の名前も、他に同姓同名がいなければ(彼らの承諾があれば)、
登録できるみたいです。(参考)
高須克也、前澤友作、安室奈美恵、村上春樹など。
ジョンレノンの登録もあって、権利者は妻のオノヨーコさんです。
ポールマッカートニーはないですね。
ちなみにキャッチフレーズも可能です。
元気ハツラツ(大塚製薬)、お口の恋人(ロッテ)など。
ちょっと紹介が長すぎました笑
でも、いろいろ興味深いですよね。
バンド名や芸能人名だと、最初の権利者はたいてい所属事務所なので、事務所移るときとかモメたりするんだろうなとか、想像膨らみます笑
バンド名だけの使用は商標権を侵害していることになるの?
脱線しすぎました。すみません。
話を戻すと、「ビートルズ」や「The Beatles」というテキストをオリジナルTシャツやさんでデザインしたらアウトなの?ということです。
法律をちゃんと読む前に、ぼくが思ってたのはこうです。
そもそも商標権って、「ビートルズ」を勝手に名乗った商品を販売してたら、ビートルズの商標の権利者(検索してみると権利者はイギリスのレコード会社アップル)の利益が害されるからだめなんじゃないの?
ぼくが「ビートルズ」ってかいたTシャツを着ていたところで、アップルの利益を害してることになる?
そりゃぼくがビートルズが大好きで、オリジナルTシャツやさんでTシャツを作ることができなかったら、アップルの許可を得て作ったTシャツを買うから、その分、利益を害してるってことに厳密にはなるんだろうけど、そういうことなの?
一人だけなら微々たるものだけど、たくさんの人がそういうことやったら本家の被害が大きくなるからだめってことなの?
検索してもわからなかったので、商標法をちゃんと読んでみました。
『商標法』を読んでみた→結果、そもそも商標を扱うこと自体が侵害(あくまでぼくの理解)
商標法第37条は以下です。
第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000127
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
三 (以下省略)
上記の一項の「指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用」の使用は、第2条第3項に定義されています。
第二条3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000127
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 (以下省略)
これをつなげると、商品に標章を付す行為(第2条第3項第1号)自体が商標権の侵害(第37条第1号)というわけです。
つまりTシャツに”ビートルズ”という商標を付けるのは商標権の侵害とみなす、と完璧に法律に書いてあります。
法律素人のぼくにはそう読めます。
そして、第37条第2号の「その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し」の譲渡、引渡は、所有権の移転、実質的支配の移転を表すようなので、
”ビートルズ”という商標の付いたTシャツをオリジナルTシャツやさんに頼んで作ってもらって、完成品を受け取る、という所有権や実質的支配の移転も、商標権の侵害とみなされる。
こちらもそのように読めます。
商標権を侵害する行為には刑事罰があります。
第七十八条の二 第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000127
結論、
商標登録されている指定商品は、権利者以外の者がたとえテキストだけでも扱うことはダメ、
テキストを付けるだけでもダメ、
とぼくは判断しました。
※
もし間違ってること書いてたら訂正するので、問い合わせにご連絡お願いします
へりくつ、または最後の抵抗…
メッセージならどうなんだろう?
例えば「I ♡ The Beatles」
これは、ぼくの主張であって、この中の”Beatles”は決して標章ではありません。
は通らないのかな?
このTシャツを見た人が権利者の売り物と誤認する可能性は否定できないからダメなのかなぁ。
(まあ、そこまでして作りたいってわけじゃないだけど…)
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というわけで、著作権にはもちろん、商標権にも気をつけてオリジナルTシャツは作りましょう。
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以下の記事では、法律のことを少しだけ詳しく学びたいときのことを書いてます。