セブンイレブン研究~強さの秘密①NDFとチームマーチャンダイジング

雑記

日本にコンビニチェーンは以前はいくつもあったものの、今は3大チェーンに集約されていますが、今も昔もセブンイレブンの強さは他を圧倒しています。

企業(本部)としての数字、店舗(加盟店)としての数字は当然ナンバーワン。
(コンビニはフランチャイズなので店舗は基本的に独立した個人事業主です。通常セブンイレブンジャパンが業績報告する数字は、本部としての数字であり、各店舗の売上は入っていません)

食料品のおいしさもナンバーワンです。

コンビニに行こうとしたとき、他のチェーンと選べる状況にあったら、私なら絶対セブンイレブンを選びます。そういう人は多いのではないでしょうか。

そしてその魅力は、少なくとも私の中では20年変わっていません。
20年間も同じ状況が続いているのです。

こんなに間近に見えていて、他のコンビニチェーンが真似できていないのはなぜなのでしょうか?

これが私がセブンイレブンのことを調べてみようと思ったきっかけです。

これから3回に分けてセブンイレブンの強さの秘密を紹介していこうと思います。

今日はその第1回目です。

2回目→セブンイレブン研究~強さの秘密②他社によるセブンイレブン専用工場
3回目→セブンイレブン研究~強さの秘密③創業者

日本デリカフーズ協同組合(NDF)とチームマーチャンダイジング

第1回目は、セブンイレブンの食料品が味を含めて高品質な理由にせまります。

セブンイレブンの食料品が安いのにめちゃくちゃおいしい理由は、
・日本デリカフーズ協同組合(NDF)と
・チームマーチャンダイジング

で商品開発をしているからです。

どちらも普段聞き慣れない名前ですね。
これからその仕組みの説明をします。

まず、日本デリカフーズ協同組合(NDF)について。

セブンイレブンのおにぎりやサンドイッチ、菓子パンなどのパッケージの製造者欄を見てください。
そこにはその商品の製造者名が記載されています。

仮にその製造者名をAとすると、その商品はAによって製造され、セブンイレブンが販売しているという当たり前の構図ですが、
セブンイレブンは単にAに製造委託をしているだけではありません。

この商品はセブンイレブンとAが参加する【NDF】で商品開発が行われて、Aが製造し、セブンイレブンの店頭に並んでいます。

セブンイレブンの食品は基本的にNDFで共同開発されているのです。

NDFはセブンイレブンのかけ声で1979年に発足し、現在では90社以上が参加しています。
任意組織、非営利組織としか紹介されておらず、ホームページもありません。
実態はどのような位置づけの企業体なのか不明ですが、セブンイレブンの資本の入った団体ではありません。

NDFにはセブンイレブンジャパンと、食料品メーカーだけでなく、原材料メーカーやパッケージの資材メーカーなども入って商品開発を行っています。

ここでは、商品単体の開発だけではなく、
・品質管理や
・原材料の調達、
・環境対策など
も含めたトータルでの商品開発が、各メーカーと協同で行われているのです。

そしてこのように、一つの商品に対して上流から下流までのメーカーがそろって開発することを、セブンイレブンでは、【チームマーチャンダイジング】と呼んでいます。
(セブン&アイホールディングスの傘下にはイトーヨーカドーやデニーズもあるので、セブンイレブンの枠を超えて、ホールディングス単位で共有するものはグループマーチャンダイジングと呼びます)

NDFとチームマーチャンダイジングの何がすごいのか

では、なぜこの、NDFとチームマーチャンダイジングが高品質な商品を生む仕組みになるのか?

それは1社だけに委託するより、企画から販売までの各レイヤーの中で品質やコストが最も優れている取引先と契約して、作れるからですね。
原材料はセブンイレブンジャパンが日本全国見渡した上で、高品質低価格のもの、
パッケージ資材はその道のプロが選別したもの、といった具合に。

セブンイレブンジャパンが日本全国見渡すことができるのも、NDF参加団体のおかげで様々な情報が入ってくるから。

良い商品を開発する
→低コストで実現できる
→参加団体が増える
→よりよい商品が開発される
ポジティブサイクルです。

各メーカーがNDFに参加する理由はなんでしょうか?

NDFには競合他社も参加しています。
そのため、ある参加企業にとって市場優位となる情報を公にするかもしれないというデメリットがあります。

でも逆に言えば、その参加企業が知らない情報を得ることができるとも言えます。

もちろん、セブンイレブンからの安定需要は大きなメリットです。
NDFには一般的に認知されていない中小企業も多数参加していて、彼らにとってはこれは大きい。
これまで取引のなかった原材料メーカーとの接点になったりする。

マーケティング情報、これが一番かもしれません。情報を持つ者が強いのは、いつでも、どこでも不変の真理。
消費者との接点はセブンイレブンであり、
・どのような属性のお客さんに、
・いつ、
・どの商品との組み合わせで売れたか
など、メーカーにとっては喉から手が出るほど欲しい情報がNDFに参加することで得ることができます。

そして、NDFで得た知見を自社製品に反映することで、よりよい製品をセブンイレブン以外のところにも提供できるようになります。

そう、NDFとチームマーチャンダイジングは、セブンイレブンジャパンとその参加企業にとって、Win-Winな関係だし、ポジティブサイクルが発生する発展的な形なんです。

その仕組みを作って維持しているセブンイレブンが最強

セブンイレブンは、
味はもちろんのこと、コスト、環境面なども含めたトータルで高品質な商品を作ることを目指した。
どうすればそれが可能になるか考えたときに、自分たちだけでやらずに各レイヤーのプロが集った方がいいよね、となって、NDFとチームマーチャンダイジングをゼロから構築した。

この、
・本質を見抜く目、
・徹底した顧客目線、
・その構想を実現する能力と継続運営
が、セブンイレブンが他とは一線をかくす強さの秘密の第一なのです。


2回目→セブンイレブン研究~強さの秘密②他社によるセブンイレブン専用工場
3回目→セブンイレブン研究~強さの秘密③創業者

<参考文献>
– セブン-イレブンだけがなぜ勝ち続けるのか
– セブン-イレブン 終わりなき革新
– セブン-イレブン 金の法則 ヒット商品は「ど真ん中」をねらえ
– わがセブン秘録