※この記事は2020/8時点の市場を元に書いています。
米国では新型コロナの影響で配られた給付金を投資に回す人が多いらしく、大量のお金が株式市場に流れて株高になっています。
日本においては、同様に10万円給付がありましたが、株価に影響が出るほど株式市場にお金は流れていないようです。(ほとんど日銀が買ってるし、まだまだ個人が投資をする割合が低いので)
でも中にはこれを機に株式投資でもやってみよう、世間に出回る儲け話を知って自分にもできるんじゃないかと考える人がいると思っていて、
このような人たちにこれだけは言っておきたい、ということを書きます。
・2017年から2019年まで、100万を使って日本株投資をやってみた
・いわゆるスイング投資で90回くらい売買した
・結果、半分になったので日本株の短期売買はやめた
・今ではもっと痛い目を見なくてよかったと思っている
今、投資を始めたばかりの過去の自分に言うとしたら・・・
橘玲著「臆病者のための株入門」を読め
今、もし投資を始めたばかりの過去の自分にアドバイスができるとしたら、
まず、橘玲さんの「臆病者のための株入門」を読め、と言います。
基本的に言いたいことはこれに全部書いてあります。
概要は、
- 株の短期売買はギャンブルだ。その証拠に、例えばプロ野球選手が野球の素人に負けることなど100回に1回もないのに、投資の世界では投資のプロが素人に負けている。どんな投資のプロもインデックス指数(市場の平均)を上回る成果を出せていない。
- 株で儲かったという話は世の中に溢れているが、それ以上に損している人がいることも頭に入れなければいけない。なぜなら株式市場での売買はゼロサムゲームだから。100万儲けた人がいれば100万損する人が一人とか、10万損する人が10人いるということ。
- これらのことは合理的に考えれば、普通の人ならだれでもわかる
です。(「臆病者のための株入門」の全概要ではありません。本には、ではどうすればいいか、まで書いてあります)
そもそも、数回売り買いするだけで何十万も儲かるのであればだれでもやってるし、
今の時代すぐに情報は拡散するのだから、全員が必ず儲かるなんて話はあるわけないのです。
これも合理的な頭脳の持ち主なら、ちょっと考えればわかるはずなのですが、
なぜか自分だけはうまくいくと考えてしまうんですね。
コロナ禍の例をあげると・・・
2020/8時点で、日経平均はちょうどコロナが発生した2020年3月に16,500円の最安値をつけてから、
23,000円付近のコロナ発生前にほぼ戻りました。
日経平均で1.39倍になっているので、もし最安値で100万買っていれば40万は儲かっている計算になります。
これは市場平均なので、個別株ならもっと大きく儲けることができています。
例えばメルカリの場合、3月の1,557円の最安値から昨日は5,100円なので、3.27倍です。
最安値で1枚(100株)買っていても、35万くらい儲かっている計算になります。
こういうのを見ると、いかにも簡単に稼げそうな気になってしまいます。
でも、状況をちゃんと読むと、”最安値で買っていれば”という前提条件があります。
これは、未来になって過去を振り返ったときにしか満たせない条件なので実現不可能な命題であることになります。
いつ買ったらいいかはわからない
投資では「落ちているナイフを掴むな」というものがあります。
落ちているときはどこまで落ちるかわからないので、落ちきってから買え、というのですが、
いつ落ちきったか、いつが底値なのかは、未来からしかわからないのです。
歴史で習う1929年の世界恐慌は底を打つまで2年以上かかってます。
いや、メルカリの例なら1,500円から3,000円になったときであれば、さすがに落ちきったといえるんじゃないの?その時に買っていても今なら20万儲かってるよ、と言うかもしれません。
でもそれも結果論です。
3,000円に戻したときにさらに5,000円までいくと思えるか、
もうコロナ前に戻った(2019年4月、5月あたりに3,000円付近です)のでこれ以上は伸びないと思うかは、
わからないです。
(他の銘柄の値動きを見て後者の方が可能性が高いとぼくは思います)
実際ぼくは、コロナで落ちたとき、どこまで落ちるかは全然わからなかったし、
上がり始めたときに2番底があるかもと思ったし、こんなに早くコロナ前に戻るとも思いませんでした。
もちろんこれはぼくの観察眼のなさでもあります。
こんなに各国がお金をばらまいて、外の行動も抑制されればいくらか株式市場にお金が流入することは想定可能の範囲かもしれません。
でも、これを株式投資を始めたばかりの人が予測するのは不可能です。
(この記事はあくまでそのような人たち向けの記事です)
いつ売ったらいいかもわからない
ここまではいつ買うか、という視点ですが、儲けるにはさらにいつ売るか、利確の視点も必要です。
メルカリで言えば、今の5,100円が高値なのかどうか、
今で高値なら売るべきだし、まだ伸びるなら売るべきではありません。
これも買い時と同じように今の時点ではわかりません。
落ち始めたら売れ、と言われたり、
もっともらしく短期トレードの様々な指標を使って説明されるかもしれませんが、
未来はだれにもわからないのです。
合理的に考えれば当たり前のことです。
それでも儲かっている人の話は・・・
儲かっている人の話をよく吟味すべき点として、当時の市場全体の相場感というものがあります。
アベノミクスが始まったとき、2013年から2015年半ばまでだと、
日経平均は10,000円から20,000円の倍になってるので、だれでも儲かってる時期になります。
なのでこの時期の実績はそこを差し引いて考える必要があります。
時期は違いますが、素人のぼくでさえ、日経平均が年初から年末まで増加している2017年は損していませんでした。
2015年以降はやっぱり株の儲け話はあまりでてきてない感がありますね。
まとめ
ということで、今投資で儲けようと意気込んでいる人がこんな忠告をちゃんと聞いてくれるとは思いませんが、
もし聞いてくれるなら、
- やるならなくなってもいい金額でやる
- 個別株を買うなら、その企業の製品やサービスが好きで応援したいもの、または自分の専門的知識で他の企業より必ず成功するという確信がある企業の株を買う(ただこれは短期売買ではなく必然的に長期投資になる。またこの場合、上がらなくても諦めもつく)
- ある程度の長期間、相場を観察し、相場感のよい時、悪い時を観察した上で、今回のコロナのような大きく下落した時やバブル(2017年の米国株とか2017年のビットコイン)に買う(それでももちろん未来はだれにもわからない)
ということです。
新たに投資で儲けようという人の耳に届けば幸いです。